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このコラムでは小説形式で指導現場における先生と生徒のやり取りをご紹介したいと思います。ぜひ実際の指導現場を想像しながらご覧ください。
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弁護士志望の高3生タケルくん。
国語の得点が安定しない。
苦手とする、抽象的なテーマの文章を読解中。
本文の要約をしています。
さて、要約がだいたいできたみたいだね。
出来はどうかな。
「うーん。」
たしかに、何とかしようと懸命に書いた様子がうかがえるね。
後ろの方は丸写しに近くなっちゃってるなあ。
しっかりした方法がないと、こうなってしまう。
では、まず基本的なことからいこう。
要約で確かめ、上達して欲しいのは、
本文の骨組み、論理構造をとらえることだ。
指示語、接続詞の使い方だけど、役割などは習っているよね。
「はい。」
たとえば?
「『しかし』だと逆接とか・・・」
それから?
「『ところで』で話題転換、『たとえば』で具体例。えーと。」
そうだね。
たくさんの項目を教えているテキストもあるけど、
注目して欲しいのは5つ
基本的な3つは◎で書いておいたよ。
プラスして、そこから派生した2つも押さえてほしい。○で書いたよ。
◎ 同内容
「つまり」など。
前後が同じ内容。ほとんど同じ場合もあれば、
まったく表現の違うかたちに言い換えたものもある。
○ 具体例
「たとえば」など。同内容のバリエーションとして理解して欲しい。
要約のときは「例」とだけ書いてくれればいいよ。
◎ 逆接、対比
「しかし」、「一方」など。
逆接と対比を厳密に区別する必要はあまりない。
この前後では、似た内容だが異なっている部分がある。
○ 譲歩
「確かに・・・しかし~」
「~」に筆者がわの主張が多い。
◎ 理由
「だから」、「なぜなら~から」など。
これで5つ。
「他のはいいんですか。」
接続詞はこれだけでいいよ。
それから、次の2つ。
・指示語は内容を示す。
・「まず、つぎに、最後に」は序数として①、②、③とつける。
要約は、これらを軸にして作成して欲しい。
細かいところは実践しながら教えていくよ。
そして、ここからが重要なんだけど、
接続詞が本文中に無くても、
逆接、同内容、理由の関係があれば接続詞を自分で書き加えて欲しい。
「えっ?加えるんですか。」
文中の接続詞から読解しようというのは、
あくまで「筆者が論の展開で接続詞を使っている」ということを前提としている。
しかし、すべての箇所に接続詞をつけると文がくどくなる。
著者の文体やクセによっても大きく変わってくる。
読み手として、5つのパターンの接続関係を意識すると、文章の難解な箇所も読めてくるはずだ。
君がさっき本文をほとんど丸写ししてしまった箇所だけど、これを意識して再挑戦してみよう。
「はい、頑張ってみます。」
あ、あんまり肩肘を張らなくていいよ。
とりあえず大まかに出来ていればいいから。
要約をするたびに厳しくやっていると、
苦痛になって、そのうちトラウマにまで悪化しちゃうんだよね。
さて、今回は要約を作成してみた。
同じようなことはたいていの参考書などに書いてあるけど、
意識して欲しいところをしぼって実践してほしい。
・接続詞は5つでOK。
・本文に接続詞が、すべて書いてあるわけではない。自分から補う。
準備は整った。
さて、次回はいよいよ抽象的な文章そのものの読解攻略法にいこう。
・・・いかがでしたでしょうか。
大企業の顧問弁護士を目指して、
難関国立大合格を目指すタケルくん。
ただいま、文章の論理構造を学習中です。
LFLの家庭教師では、東大をはじめ難関国公立大受験指導もしています。
理系・文系問わずお気軽にご相談いただけたらと思います。